先発のマウンドに上がるのは、16年7月3日の西武戦(Koboスタジアム宮城)以来、約9カ月ぶり。「相手のスタメンも確認していなかった」状態だったが、初回2死一、二塁、2回2死一、三塁の連続ピンチを切り抜け、6回途中まで被安打4の無失点。見事代役の責任をはたした。

 そして、リリーフ陣がソフトバンクの反撃を1点に抑え、2対1で逃げ切り。16年6月16日のDeNA戦(横浜)以来約10カ月ぶりの勝利投手まで転がり込んできた。これには梨田昌孝監督も「登板を早く告げるより、急だったから良かったかな?」と目をパチクリ。

 話はこれだけではない。実は、戸村にとって予告先発の代役は2度目。大久保博元監督時代の15年6月19日のロッテ戦(QVCマリン)でも、予告先発・辛島航が左背中の痛みを訴えて緊急回避した代役を務め、5回1失点で勝ち投手になっている。

 過去にも代役先発2度を経験した投手は2人いるが、2勝したのは戸村が初めてだ。予告先発では13勝19敗と負け越しなのに、代役先発で2戦2勝は、ぶっつけ本番に強い証明かもしれない。

 6月9日の広島戦(Koboスタジアム宮城)でも、腰の張りを訴えた塩見貴洋に代わってシーズン2度目、通算3度目の代役先発をはたしたが、5失点KO負け。残念ながら「2度あることは3度ある」とはいかなかった。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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