「Thank you so much. Where are you from?」(ありがとうございます。あなたはどこから来たんですか?)
「Indonesia.」(インドネシアです)
「What kind of purpose ? Job?」(目的はお仕事ですか?)
「Job. What do you want to know?」(仕事です。何が聞きたいんですか?)
明らかに警戒されているのがわかる。それでも質問に応じてくれているので、とりあえず核心となる質問をしてみることにした。
「I heard there are living people in the rooftop. I wanna see it.」(ビルの屋上に人が住んでいると聞いたもので。それを取材に来たのです)
「I pay the money every month. I have no problem. Electricity and water are okay.」(私は家として借りました。おかしなところはないですよ。電気も水も通っていますし、家賃も払っています)
「I see. How much is the rent? Did you pay each month?」(家賃っていくらですか?毎月払っていますか?)
「2000 HKD. Is it OK? It is over. I don't have time.」(2000香港ドルです。もういいですか?)
「Thank you.」(ありがとうございます)
彼は足早に立ち去っていった。
警戒心が解かれることはなかった。ただし、彼のような移民は珍しくない。というのも香港では、元々出稼ぎ外国人は多かったが、インドネシアとフィリピンからの人々は近年急増している。主な仕事として女性はメイド、男性は肉体労働。香港人はそうしたキツイ仕事を敬遠する傾向にあるというのが、大きな理由のようだ。そのため、私が出会った男性も、そうした出稼ぎ外国人の一人なのだろう。