夫はテレビのあるリビングを毎日占拠している。花田さんは、夫と顔を突き合わせたくないのもあって、1日でも早くパート先を見つけようと思っている。
都内に住む60代の佐々木麗華さん(仮名)も、夫の子どもっぽさに腹が立っている。今春、長女が独立すると、夫の言動がこれまで以上に目につき「うざさ」が倍増した。
例えば、「家の中は禁煙」というルールがあるのに、夫の部屋は煙が充満している。「家の中では吸わない約束でしょ」と言うと、「庭で吸ってたよ。吸い殼を部屋に持ってきただけ」と夫が言い訳。どうして素直に「ごめん」が言えないのだろうか。
また先日は、夫が冷蔵庫の奥からモヤシを引っ張り出してきて「腐ってるよ」と注意してきた。料理もしないのに、冷蔵庫を引っかき回して小姑みたいに細かいことを言わないでほしい、と佐々木さん。
振り返ってみると、夫にとっての結婚とは、自分を子どものように甘やかしてくれる「第二のお母さん」を求めていたのかなと思う。いまは「卒婚」が理想だが、とりあえずはこんなにも子どもっぽい夫と30年以上も一緒に暮らしてこられた自分を褒めてあげたい気持ちだという。
これから定年を迎える夫に不安を抱えるのは、埼玉県に住む平木雅子さん(仮名、57歳)だ。現在夫は単身赴任中で、「家に夫がいないのが普通の状態」だ。それなのに、夫が定年を迎える4年後、来る日も来る日も2人きりの生活が始まるなんて、考えるだけでもため息が出るという。
夫への不満は多々あるが、平木さんはもめるのも面倒なので表に出さないことにしている。先日、2人で銀座に行きご飯を食べようということになった。「あそこに美味しそうなレストランがあるわよ」と提案したのに、まったく聞いてくれず、夫がずんずん進むのでついて行くと、結局いつもと同じような店になった。本当はほかのところがよかったが、けんかしたくないのでおとなしく食べたという。おそらく夫は平木さんのこういう感情にはまったく気づいていない。