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「脳の学校」代表、加藤プラチナクリニック院長でもある、医学博士の加藤俊徳医師の元には、コミュニケーションに問題を抱えている人が多く訪れるといいます。こういった人たちの多くは、優秀で一流の大学をでています。中には将来の管理職候補だけでなく、現役の管理職など、人の上に立つリーダーの人たちもいます。このような、はたから見るとエリートで、悩みなどないように思える人たちが、わざわざ加藤医師のところに、「コミュニケーション障害」いわゆる「コミュ障」の相談に来るのはなぜなのでしょうか?
著書『脳を強化する読書術』(朝日新聞出版)でも明かしてくれた、その理由と改善法を特別に紹介します。
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私は医学博士として、人の脳の成長過程を専門に研究してきました。これまで1万人以上の人々のMRI脳画像を分析し治療してきました。特定の悩みを持つ人の脳の相談に乗ることも多く、コミュ障に関わる問題もその一つです。
相談者の中には、管理職クラスの人が多くいます。管理職の多くの人たちがかなりのストレスを抱えています。その一番の理由は、優秀な学生を採用しても、思ったほど仕事ができないのです。その仕事のできない理由がコミュ障です。
さらに、逆の悩みもあります。昇進するまでは、人とあまり円滑にコミュニケーションがとれなくても、困らなかった人が(もちろん直属の部下は困っていたかもしれませんが……)、もっと広い範囲のマネジメントを任された途端、自分のコミュニケーション能力のなさに気が付くのです。例えば、新入社員の女性とも話せなければなりませんし、技術職や職人など、寡黙なグループとも意思疎通ができなければなりません。
若い人と話すためには、脳の「言語を理解する場所」だけでなく、表情や雰囲気など「非言語」まで理解しなければなりません。そのような非言語コミュニケーションをつかさどる脳の部分は「右脳の頭頂部」にありますが、この部分が弱い人が、エリートには多いのです。