
「やすらぎの郷」ほどドラマチックではないけれど、今日も全国の高齢者ホームで起きている日常生活のあんなことや、こんなこと。発売中の週刊朝日ムック「高齢者ホーム 2018」では、そんなリアルなプチ事件簿をプロファイリング。とっても平和な高齢者ホームの24時間をリポートする。
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ドラマ「やすらぎの郷」(テレビ朝日系、放送終了)は、テレビ文化に功績を残した者だけが無料で入れるという、招待制の高齢者ホーム「やすらぎの郷 La Strada」を舞台に、入居者の元テレビ関係者たちが織りなすめくるめく日常を描いて、ヒットした作品だ。
実際多くの高齢者ホームでも、ランチタイムの食堂に集まった入居者たちが食い入るようにドラマの展開を見つめる光景が、定番となっていた。ある高齢者ホームに入居する70代の女性も言う。
「本物のホームでは、あんなふうに毎日事件が起こったりしないから、あの人間関係がいい刺激になりそう。ロケーションもステキだし、もしも実在したら、元気なうちに入りたいわ~。でも費用は、いくらぐらいかしらね?」
はい。試算してみました。
まずは施設概要から。都心から車で1時間半程度の海沿いにある、東京ドーム約30個分の広大な敷地に、マンション、コテージ、ヴィラという3タイプの居室、約50戸が点在。共有施設もスポーツジム、温泉など、高級高齢者ホームの定番施設のほか、若い女性バーテンダーが常駐するバーや、シアターなども完備する。
サービスも手厚い。認知症にも対応する医療態勢は万全。また美人コンシェルジュが入居者の日常をサポートしてくれるだけでなく、入居者と結婚するという夢のような展開も。しめておいくら?
高齢者ホームの料金設定は、「家賃部分」に大きく左右されるという。普通の賃貸マンションと同じく、広く豪華で、地価が高ければ入居費用も跳ね上がる。そう考えると、「やすらぎの郷 La Strada」の家賃は、どう考えても天文学的数字に。脚本家の倉本聰さんは週刊朝日ムック「高齢者ホーム 2018」のインタビューで、「創立者が使ったお金は2兆円」と試算している。専門家たちも、口をそろえる。
「日本一高い入居費用になることだけは間違いないでしょう」
例えば、もっとも高額な入居費用のホームの一つとして知られる東京・成城にある某高齢者ホームの場合、入居時だけで最高4億円が必要といい、それを上回るのは確実だ。
架空の施設で、あーよかった?
(文/福光恵)