脚本家・倉本聰(82)がシルバー世代に向けて手がけた昼ドラ「やすらぎの郷」(テレビ朝日系)が9月29日、最終回を迎えた。“やすらぎロス”が叫ばれるなか、現在発売中の週刊朝日ムック「高齢者ホーム 2018」では、倉本聰にとっての理想のホームや、死生観などを尋ねている。
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――高齢者の生活で大切なことは「明るく生きることが第一」と倉本は言う。人生に必要なのは「生きがい」と「笑い」だ。
人間やることがなくなっちゃったら生きていても仕方がない。だから、最期まで何かやれることは見つけなければいけない。僕はおふくろが亡くなった時、老人の生きがいは人のために役に立つことなんだということがわかりました。人間として社会の中に存在するということは結局、人のために役に立っているということ。そこを誤解してはいけないという気がします。
いちばんいいのは自分の子孫や家族の未来に対する奉仕ができるかどうか、かもしれません。よく言うんだけど、昔話は「昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました」から始まります。「お父さんとお母さんが住んでいました」という始まりはありません。というのはね、昔はおじいさんとおばあさんが孫を預かって育てていた。教育係はおじいさんとおばあさんで、お父さんとお母さんは外に稼ぎに行ってたんです。そんな子どもは生活の知識もあるし、きちんとしたしつけもされていた。今の時代もそれができるならしたほうがいい。高齢者の生きがいにもなるし、児童手当や待機児童の問題も解決すると思うんですけどね(笑)
――人生に必要なもう一つの要素は「笑い」。倉本は、いま日本人にいちばん欠けていることかもしれないと言う。
人にただ話すのと、そこに笑いを入れるのとでは相手の引きつけられ方が変わってくる。狙った笑いではなく、笑いのポイントってたくさんあるような気がします。笑いがあると、人は引きつけられるし、話に乗ってきてくれる。笑いのある人は魅力的です。