
大学受験の季節が始まった。9月26日から10月6日までが、センター試験の出願期間。2018年入試の本格スタートだ。今年も65万余の受験生が全国777の国・公・私立大学を目指す。しかし、無事入学できたものの、「当大学は来年度からの募集を停止し、4年後に閉校します」と言われてしまったら――。
「えっ!大学が倒産?」。人生の出発点に立ったばかりの新入生にとって、これほどの悲劇はないだろう。だが、悪夢のような事態が本当に起きる時代になったと、教育ジャーナリストの木村誠氏は警告する。木村氏は『大学進学ジャーナル』元編集長で、『大学大倒産時代 都会で消える大学、地方で伸びる大学』(朝日新書)の著者。大学関係者が恐れていた「2018年問題」で、大学淘汰が急激に進むと予測している。受験生はどのように備えたらいいのだろうか? 木村氏に話を聞いてみた。
全国の4年制大学は、この30年間で465校から777校に増えた。公立大は36校から91校へ、私立大は334校から600校へと、ともに激増している。たしかに、この間、進学率は上昇している。30年前に約25%だった進学率は現在、52%に達して高止まりしている。
それにしても大学は増えすぎた。大学のブランドにこだわらなければ――もっとはっきり言えばFクラス(入学フリー)大学なら、みんな合格する。全員入学、すなわち「全入」時代になったと言われて久しいが、この状況では定員割れの大学が続出するのも仕方がない。そして「2018年」を契機に、悪夢が刻々と迫ると木村氏は警鐘を鳴らす。
2018年から受験年齢の18歳人口が本格的に減少し、2031年には今の120万人から99万人にまで減ってしまう。この間、100校の大学が消滅しても不思議ではないと木村氏は憂慮する。少子化に加え地方の衰退が大学に追い打ちをかけ、まず地方の小規模私立大が倒産の危機に直面し、都会に波及する。大学危機は中堅私立大だけでなく、人気私大や国立・公立大にも及ぶという。文部科学省による「成績査定」で、国立大への「運営費交付金」が削除されたり増加されたりして、国立大学間の差が広がると見る。したがって学部統合などを含め、国・公立大の統合・改変の流れもさらに進むというのだ。
受験生や保護者は、「危ない」大学をどう見極めたらよいのだろうか? その情報はどこから得られるのだろうか?