7月に生食用の牛レバーが販売禁止になって、約2カ月が過ぎた。レバ刺しをこよなく愛する人々「レバサシアン」たちは、いまいずこに。
「多くのレバサシアンたちはいま、喪に服している状態です」。こう解説するのは、「レバ刺し友の会」の高田マサヲ会長だ。
しかし、「救いの手」を差し伸べる動きも出始めている。厚労省は、放射線を使った牛レバーの殺菌の研究に着手している。
食品の放射線照射に取り組む市民団体「食のコミュニケーション円卓会議」が6月末、専門家を交えてレバ刺しの放射線照射を自主実験した結果、冷凍状態で照射した牛レバーは、照射していないものと外観やにおいはほとんど変わらなかったという。
代表の市川まりこ氏は、「放射線照射は世界的に安全性が確立した技術。放射線というとアレルギーを持つ人も多いが、陰でこっそり食べて食中毒になるぐらいなら、どうしても食べたい人向けに検討してもよいのではないか」と訴える。
レバサシアンの期待は膨らむばかりだが、「基礎実験を始めた段階。まだハードルは高い」(厚労省基準審査課)といい、"レバ刺し解禁"までには、まだまだ時間がかかりそうだ。
※週刊朝日 2012年9月14日号