そのほかにも「中退率」の高い大学や、「専任教員の割合」が少ない大学にも注意が必要だと木村氏は指摘する。こうしたデータの多くは公開義務があり、大学のウェブサイトに掲載されているので、ぜひチェックしたい。
急速に進む18歳人口減少の前では、「早慶上智」「MARCH」「関関同立」「日東駒専」など、都会にある人気大学も安閑としてはいられない。現在は、収容定員充足率が100%を上回る大学がほとんどだが、他校の動向次第では、いつ志願者が急減するかわからないからだ。そこで、「全学統一日程入試」(複数の学部を同一日程で受験できる方式)を導入したり、AO入試や推薦入試を採用したりすることで、受験生集めに躍起になっている。限られたパイを奪い合う競争がさらに激烈になるだろう。
一方で、志願者の減少を続ける地方私大にも、復活の一手がある。地方自治体の支援を受けての「公立化」だ。地方交付税の直接的な財政支援を受けやすくなったり、地元進学校からの志願者を増やすことができたりと、さまざまなメリットがある。実際に、志願者増加の効果は著しい。たとえば、長野県の長野大学は、これまで定員割れに悩んできたが、2017年春の公立化の気運が高まると、急速に志願者が増加した。しかし、当然のことながら、経営難に苦しむすべての大学が公立化できるわけではない。学費が安くなることによって、周辺の私大との軋轢も生まれる。公立化があらゆる地方私立大学を救う手立てにはならない。
安定した人気を誇る有力国立大学も盤石ではない。文部科学省の「成績査定」によっては、運営費交付金の配分が少なくなるからだ。教育および研究機関として実績を残していかないと交付金が削られ、結果として、大学としてのプレセンスも低下することになる。
学歴社会は色濃く残っている。社会に出ても、出身大学の名前がついて回る。母校の凋落は、自分自身の評価の低下にもつながりかねない。受験生や保護者にとっては、できるだけ情報を集めて志望校を選ぶ時代になったようだ。(文/星政明)