石原壮一郎(いしはら・そういちろう)/1963年、三重県松阪市生まれ。コラムニスト。月刊誌の編集者を経て、93年に『大人養成講座』でデビュー。『大人力検定』『日本人の人生相談』など著書多数。最新刊は『大人の言葉の選び方』(撮影/大嶋千尋)
石原壮一郎(いしはら・そういちろう)/1963年、三重県松阪市生まれ。コラムニスト。月刊誌の編集者を経て、93年に『大人養成講座』でデビュー。『大人力検定』『日本人の人生相談』など著書多数。最新刊は『大人の言葉の選び方』(撮影/大嶋千尋)

 小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』で連載中の「大人の謎 ぶっちゃけ質問箱」。今回は「たばこ」について。回答者はコラムニストの石原壮一郎さんです。

【Q】たばこを吸う大人がたくさんいるのはどうして? 体に悪いし、まわりの人にも迷惑をかけるのに。(fumiさん 北海道/11歳)

■わかっていてもやめられないのが人間のサガ

 昔の流行歌にもありましたが、人間は「わかっちゃいるけどやめられない」生き物です。私は吸いませんが、好きな人にとってたばこは、さぞおいしいのでしょう。

 今の世の中は、たばこを「絶対的な悪」と敵視し、問答無用で否定していい風潮になっています。そりゃあ、まわりに迷惑をかけるような吸い方をする人は、批判されても仕方ありません。ただ、たばこに限らず、誰しも「わかっちゃいるけどやめられない」ことがあるという視点は、常に持っていたいもの。

 もちろん、意見を言ったり批判をしたりするのは大いにけっこうです。家族が吸っていたら「やめなよ」と注意したくなるのも、愛情があるからこそでしょう。

 その際も、人間の弱さを意識しながらの言葉のほうが、より深く相手の心に響くはず。威勢よく「正義の剣」を振りかざすのが好きな人もいますが、それは単なる自己満足で、相手には何も伝わりません。

※月刊ジュニアエラ 2017年7月号より