嫁姑のいさかいは古来つきることがない。しかし、昨今では「嫁いびり」など過去の話で、我がもの顔でふるまい、家族を振り回す“毒嫁”が急増中だ。女性向け健康・ライフスタイル誌『ゆとりら 夏号』の特集「聞いてちょうだい ウチの毒嫁」で取材した、東海地方の女性(61歳)の体験をお届けする。
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息子の嫁とは、もう修復できない深い溝ができてしまったように思います。でも私は後悔していません。あんなに失礼な人なら、家族付き合いしなくて結構、と思う毎日です。
私の嫁いだ家は旧家で、お姑さんも厳格な方でした。息子が生まれたときは後継ぎができたと大変喜ばれ、男の子を授かったことを天に感謝したほどです。夫は小さいながらも会社を経営し、息子にも事業を継いでもらいたいと思っていました。息子にはしっかりとした教育を与え、大切に育ててきたつもりです。自然と、親の望む“お嫁さん像”ができてしまっていたのかもしれません。
息子が結婚したいと連れてきた人に初めて会った時、正直絶句しました。髪は金髪で真っ赤な長い爪、挨拶もきちんとできないような女性だったのです。玄関先でタバコを吸っているのも見てしまいました。夫も私も大反対。息子になぜ彼女なのかと聞くと、見た目とは裏腹にとても献身的に自分に尽くしてくれ、心も優しい女性なのだとか。それでも私は、「結婚は絶対に許さない」と告げました。
でも、駆け落ち同然に結婚してしまった息子。「今どき、親の望む結婚なんてあり得ない」というのが息子と嫁の答えでした。どこに住んでいるかも知らされず、お正月やお盆にも帰ってくることもなく、まるで息子を失ったような生活に一変。それでも私は彼らが許せず、こちらからも連絡することなく1年が過ぎていきました。
ある日、息子が大変お世話になった恩師が亡くなったと家に連絡があり、久しぶりに息子に電話をかけたときのこと。電話の向こうで赤ちゃんが泣いているではありませんか。「まさか、子どもが産まれたの?」と聞くと「そうだけど」と一言。ショックのあまり「なぜ知らせてくれなかったの」と問いただすと嫁が電話口に。「私の産んだ子どもに興味なんかあるんですか?」と言い放ち、電話を切られてしまいました。
この先ずっと、仲たがいをして孫の顔も見られないような状態が続くのもよくないと思い、嫁に連絡をし、家を訪ねました。初めての息子宅の訪問です。すると、嫁はチェーン越しに顔を出し、孫は寝ているので帰ってくださいと言うではありませんか。たくさん持っていったお土産も「私のご機嫌取り?」と笑い、いらないと突き返される始末。「それから、あんたんちの財産目的と思われてもいやなので、今のうちにそれも放棄しますから」と言い、玄関を閉められました。
あの時の不快で恐ろしい記憶が忘れられず、息子家族にはもう接点を持たないようにしています。(構成/島田ゆかり)