「肛門を残しても、一般に肛門の機能は下がります。術後に便失禁や1日10回程度の頻便が起こることもあり、その後半年から1年くらいの間に排便回数が減っていきます。また、無理をしすぎると、がんを取り残して再発する危険性も高まります。ISRは、欠点についてもしっかりと説明してくれる病院で受けるべき手術です」(西村医師)
「大腸がんの手術は、排尿・排便障害や性機能障害などの後遺症が残るケースもある。手術数も指標の一つですが、術後5年、10年と長く寄り添ってくれ、心から信頼できる医師を選ぶことが一番大切です」(渡邊医師)
【こんな病院は要注意!】
●リンパ節切除についてしっかり説明しない
進行がんでは、局所再発を防ぐため、徹底したリンパ節切除をおこなうのが日本の標準治療。きちんとした説明があるか要確認。
●治療法のメリットを話してデメリットについて触れない
腹腔鏡手術、ISR、術前化学・放射線療法など、治療法を決める際にいい面ばかり強調し、デメリットをきちんと伝えない。
●ストーマケアが充実していない
直腸がんで一時的もしくは永久のストーマをつけても、専門スタッフによるケアが受けられない。
(取材・文/坂井由美)
<解説者>
渡邊昌彦(わたなべ・まさひこ)/北里研究所病院 副院長
西村洋治(にしむら・ようじ)/埼玉県立がんセンター 消化器外科 副部長