また腹腔鏡手術では、指導医としての技量を認定する、日本内視鏡外科学会による技術認定医(消化器・一般外科領域)が参考になる。審査委員長を務める渡邊医師はこう続ける。
「この資格を持つ医師は、腹腔鏡手術を安全・適切におこない、指導できる技量があります。技術認定医のいる病院は高い技術レベルにあると考えられるでしょう。腹腔鏡手術の場合、手術をビデオでも学ぶことができ、全国で開かれる研究会で研修を積んでいます。トップレベルの技術を持つ医師は、都会のがん専門病院に限らず、地方の病院にもたくさんいます」
技術認定医は大腸以外の臓器でも取得でき、現在、学会ホームページで公開されている。
がんが進行してリンパ節や他の臓器に転移した場合には、原発のがんとともに手術で取り除く。がんが大きく手術で切除不可能な場合や再発の可能性が高い場合は、手術の前に抗がん剤や放射線治療をおこなうこともある(術前化学・放射線療法)。がんを縮小させて切除する、または再発リスクを減らすのが目的だ。外科と、放射線科や腫瘍内科との連携が重要になる。
進行がんの開腹手術経験が豊富な、埼玉県立がんセンターの西村洋治医師はこう話す。
「大腸がんの場合、肺や肝臓、腹膜などに転移しても、手術で切除できれば助かるケースがあります。なかには計10回の手術をして元気に暮らしている患者さんもいます。腹膜にがんが散らばる腹膜播種などは手術が困難になるため、経験豊富な病院で相談する必要があります。心臓や肺などに持病があると、がんセンターでは専門医がおらず手術ができないために大学病院に紹介することもあります」
通常、肛門に近い下部直腸がんでは、がんと一緒に肛門を切除して、おなかに人工肛門(ストーマ)をつくる。最近いくつかの病院では、がんと内肛門括約筋を切除し、肛門を残す手術(括約筋間直腸切除術=ISR)も積極的におこなわれている。ランキングでは、ISRの実績を掲載している。ただし、肛門を残すには次の心の準備が必要だ。