不登校の子を持つ親から「先生に相談したけどダメだった」という話を、この20年間、さんざん聞かされてきました。
毎回、思うことがあります。
私が知るかぎり、不登校を“解決”した先生はほとんどいませんよ、と。
■先生には「不登校理由」が見えない?
昨年『不登校新聞』では文部科学省の不登校調査を問題にしました。なぜ不登校になったのかという理由について「先生との関係」と答える割合が、子どもと先生の間で大きな差が出てくるのです。
不登校経験者は4人に1人(全体の26.2%/2006年度追跡調査)が「先生との関係」が、不登校の理由になったと答えました。
一方、学校(先生)に、生徒たちの不登校理由を報告してもらうと、「先生との関係」を理由に不登校になった生徒は1.6%、62人に1人にすぎませんでした(06年度調査)。
ともに文科省の調査ながら、その差16倍。分析を担当した教育学者・内田良氏は「生徒本人は教職員との関係に『原因あり』と感じていても、先生はそのことを自覚していないと言える」との見解を示しました。
ひらたく言えば「先生からは不登校の実態が見えていない」ということです。ただし、私は「先生の資質に問題がある」とは思っていません。いまは先生たちの忙しさも問題になっています。先生自身には問題がないけれども、先生と不登校の子は良好な関係づくりが難しく、先生が実態を見るまでに至らない。そう思っています。
先生が不登校の子と良好な関係を築けないことにはいくつかの理由があります。
・ほとんどの先生が不登校の多数の子と頻繁には会っていない
・不登校の子が嫌がっている学校復帰を先生は求めてしまう
・毎日、会えることを前提とした先生の指導スタイルが不登校の子には通じない
こうした理由が関係づくりを阻んでいます。もちろん、これらを解決したいと思っている先生も多いのですが、中学校教員の8割が「過労死ライン」の月100時間超の残業をこなしているなど、対応に必要な時間も確保できません。残念ながら、不登校対応を先生に頼っても、なかなか進展しない現状が生まれているのです。
■親も孤独「どこがいけなかったのか」
先生が頼れないならば、親は誰を頼ればいいのか。