まさに“下剋上”である―ペナントレース開幕から1カ月が過ぎようとしている段階で、現在の順位を誰が予想しただろうか。楽天、西武、オリックスがAクラス、ソフトバンク、ロッテ、日本ハムがBクラス。昨季の順位(日本ハム、ソフトバンク、ロッテ、西武、楽天、オリックス)をそのまま裏返したようなパ・リーグの逆転現象の要因を探りたい。
●先発投手陣の差
上位3チームと下位3チームを比べると、まずは予想通り先発投手の成績に大きな差がある。
規定投球回に達した投手陣でここまで防御率2点台以下の投手が7人いるが、すべて上位3チームから輩出されている。その結果、各チームの先発投手の防御率は、首位の楽天が防御率3.66で、2位で並ぶ西武(防御率2.28)、オリックス(防御率2.86)がともに防御率2点台。その一方でソフトバンクが防御率4.39で、ロッテ4.07、日本ハム4.90と続く。ソフトバンクでは、和田毅が故障離脱で武田翔太も不調。ロッテは石川歩が絶不調で、涌井秀章の勝ち星も伸びない。日本ハムに至っては大谷翔平が不在の中、他の先発陣が総崩れ。やはり計算していたスターターが結果を残せないとチームは当然、苦しい戦いを強いられる。
●リードオフマンの差
防御率と同じようにチーム打率にも上位と下位には大きな差がある。楽天がチーム打率.275で、西武が.268、オリックスが.277を記録する一方で、ソフトバンク.247、ロッテ.188、日本ハム.219と続き、特に下位2球団は全く打てていない。チーム本塁打数も、上位陣は楽天が20本、西武、オリックスがともに18本だが、下位を見るとソフトバンクと日本ハムが12本で、ロッテはわずか5本のみ。これでは上位と下位の差が開くのは当たり前だ。
その中で特徴的なのが各チームの1番打者の働きの差である。楽天は茂木栄五郎が全試合で1番に座り、打率.342、5本塁打、13打点と出色のパフォーマンス。西武も秋山翔吾が不動のリードオフマンとして調子を上げて、ここまで打率.324、4本塁打、9打点をマーク。オリックスは開幕7戦目から状態の上がらない安達了一に代わって宮崎祐樹が1番に座り、ここまで13試合で打率.410、2本塁打、7打点と打線をけん引している。