写真提供:就活シェアハウス・クルーソー(CREWSO)
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写真提供:就活シェアハウス・クルーソー(CREWSO)

 あなたがPRしたいと思っている商品やサービスが、競合や既存のサービスと比べて、明らかに違っている点、優れている点はなんでしょうか?

 これまで200社以上の企業ブランド構築やPRを手掛けてきたPRの達人、上岡正明さんは、自社の商品やサービスの強みを探り、どこが優れているのか、他者より抜きん出ているところは何か、つまり「優位性」は何かを明確にすることが大切だといいます。

 上岡さんが著書『共感PR――心をくすぐり世の中を動かす最強法則』(朝日新聞出版)の中で明かしてくれた、「優位性」を打ち出したPR事例を紹介します。

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 私の手がけたPRに、「就活シェアハウス・クルーソー」という“就活シェアハウス”があります。これは文字通り、就職活動をおこなう学生(就活生)が住むためのシェアハウスです。

 この案件は、大阪という東京以外の案件であったことも特徴です。

 シェアハウス自体はどんどん増えていますが、就活生に的を絞ったものはほとんどありません。生活をともにしながら就職活動をおこなうので、どんな企業だったか、対応はどうだったか、何を聞かれたかなどの企業の生の情報をみんなで共有できるのです。このシェアハウスは、共同生活のシェアと情報共有のシェアを掛けています。孤独な闘いになりがちな就職活動を、同じ目的を持った同じ立場の人たちと励まし合い乗り越えていけるメリットがあります。

 さらに、この就活シェアハウスの運営母体であるキャリアアップという会社は、中小企業と提携していて、就活生と中小企業のマッチングもおこなっています。

 まさに、ここが「優位性」です。

 就活シェアハウスというだけでもユニークですが、中小企業と学生が時間をかけてお互いを知り、見極められる。このように、同社は両者にメリットのある仕組みを生み出し、そのことがほかからマネされにくい価値となったのです。

 実際、そのことをPRのメインに据えたところ、わずか1カ月のうちにNHKをはじめ、関西テレビなど四つのローカルテレビで取り上げられ、日本経済新聞にも紹介されました。結果、数十万円の予算で数億円のPR効果を生み出すことになったのです。

 特に、東京と違い、地方は情報が枯渇しています。情報もメディアも東京に一極集約しているからです。ですので、大阪や名古屋といった大都市以外であっても、魅力的な情報をつくり出せば、十分にメディアを騒がせたり、地元の人々の気持ちを動かしたり、SNSでクチコミを広げることは可能なのです。