3月26日に催された『もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典』発売記念トークショー
3月26日に催された『もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典』発売記念トークショー
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岩田健太郎氏「マンガのいいところは、繰り返し読むのが簡単なところ」
岩田健太郎氏「マンガのいいところは、繰り返し読むのが簡単なところ」
その場で描いたイラストに二人のサインを入れてプレゼントされた
その場で描いたイラストに二人のサインを入れてプレゼントされた

 医師・岩田健太郎氏と、累計発行部数800万部のマンガ「もやしもん」や最新作「惑わない星」の作者・石川雅之氏がブックファースト新宿店でトークショーを開催した。タッグを組んだ単行本『もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典』(朝日新聞出版)で、「医師×マンガ家」という異色のコラボが話題を集めているこの二人。イベントでは、石川氏が描いたイラストを来場者にプレゼントするなど、会場は大いに盛り上がった。そのトークショーの一部を再現する。

■歯に衣着せぬ医師ってかっこいい

――お仕事を一緒にしてきて、思うところは?

石川雅之:岩田先生はツイッター上で、たまに誰かとケンカしてます(笑)。「あ、また怒ってる」と思いながら見ています。でも、歯に衣着せぬ、戦う医師ってかっこいいなと思いますね。月刊「アフタヌーン」で掲載している「フラジャイル」という医療マンガは、僕がやっていた「純潔のマリア」と同じ担当編集さんでした。それもあって「フラジャイル」の単行本を担当さんが岩田先生に献本したんですね。そしたら、数週間後にたくさんの付箋がつけられて返送されてきたそうで、「僕に本を送るということはこういうことだ」と書いてあったらしく「すげー!」と思いましたね。そのうち、岩田先生の原作で何か始まればいいなと思っています。あ、「モーニング」でもお待ちしています。そうだ、僕、「モーニング」でした(笑)。

――マンガで特に好きな作品は何ですか。

岩田健太郎:島根で育った子どものころは「ドラえもん」にハマっていました。当時はお小遣いでマンガを買う余裕がなかったのですが、ゴミの日に『コロコロコミック』をまとめて捨てる素敵な家庭が近所にあったんです。それらが回収される前に取りに行って読んでいました。暗記するほど読みましたね。

石川:僕は、あまりマンガを読まなかったんです。読んでおもしろかったら困るわけですよ。マネしたくなっちゃうから(笑)。でも、宇宙ものだったら、幸村誠さんの「プラネテス」に影響を受けましたね。

――ドクター向けに難しく書かれている内容を、わかりやすく絵にするという石川先生の姿勢を、岩田先生はどんな風にとらえていますか?

岩田:実はもう一冊、二人で本を「絵でわかる感染症」(講談社)という本を作っています。そちらは感染症なので虫も描いてねってお願いしたんです。

 基本的には、物理も数学も難しくないと思うんです。ただ、日本の教育制度は学習指導要領のタイムスケジュールが早すぎるので、よく分からないな~と思っているうちに次の内容に進んでしまう。数学も理科もわからないままだから、苦手意識ができて嫌いになってしまうんです。ゆっくり繰り返してわかるまで待ってあげればいいと思うんです。

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