まずは4月2日のレイズ戦———。田中のメジャーキャリアを左右するほど重要な1年がここから始まる。評価、注目度が跳ね上がる中で、どんなスタートを切るのか。過去通算6勝0敗と相性の良いレイズ相手に快刀乱麻で魅せれば、充実のシーズンへの期待感はさらに高まるはずである。

 この田中、同じく開幕投手を務めるダルビッシュ有以外では、カブスの上原浩治、マーリンズのイチロー、田沢純一も開幕戦で出番があるかもしれない。

 昨季までレッドソックスのブルペンを支えた上原は、108年ぶりの世界一に輝いたばかりのカブスに移籍した。守護神が任されそうなウェイド・デイビスに繋ぐ、中継ぎの一角となることが濃厚。今季もダントツの本命視されるチーム内で、春から緊張感のある場面での登板も多くなるに違いない。もっとも、投手陣にもタレントが敷き詰められたパワーハウスだけに、シーズン序盤からフル回転する必要がなさそうなのは41歳の上原には好材料と言える。

 ナ・リーグ東地区のダークホース的な存在のマーリンズは、レギュラー野手のイキの良さが売り物。ただ、先発投手陣を始め、全体に層が薄いため、主力選手の故障時に戦力がガクッと落ちるのが昨季から続く弱点になっている。そんな中で、外野のスーパーサブ的な役割のイチロー、ブルペンの一角を務める田沢の役割も重要になってきそうだ。

 イチローに関しては、今後も1年ごとが勝負という立場に変わりはない。昨季は近年最高の数字を残して健在ぶりを示したが、かといって来年以降の契約まで保証されるわけではない。打率.229に沈んだ2014年のような成績だった場合、2018年の契約をオファーするチームが現れない可能性もある。そんな事態を避けるべく、3000本安打という節目に到達した直後のシーズンで再び健在ぶりを示せるか。43歳になった達人がどんなスタートを切るかに注目が集まる。(文・杉浦大介)