「ポスト黒田」の働きが期待されるルーキーの加藤拓也投手=2017年2月24日、井上翔太撮影 (c)朝日新聞社
「ポスト黒田」の働きが期待されるルーキーの加藤拓也投手=2017年2月24日、井上翔太撮影 (c)朝日新聞社
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 昨季、圧倒的な強さで25年ぶりのリーグ優勝を果たした広島。今季の目標は、昨年、日本ハムに敗れて届かなかった33年ぶりの日本シリーズ制覇となる。

 1984年以来となる日本一の前に、クリアしなければならない壁がある。チームでは、79、80年の一度しか達成したことがないリーグ連覇だ。当時は山本浩二、衣笠祥雄、江夏豊など、錚々たるメンバーが揃い、「赤ヘル黄金期」と言われた時代だった。21世紀に入ってセ・リーグで連覇しているのは、2007年から09年と12年から14年まで二度の3連覇を果たした巨人と、10、11年の中日の2チーム。パ・リーグでは、06、07年の日本ハムと10、11年、14、15年のソフトバンクで、広島が連覇となれば、21世紀で5チーム目の記録となる。

 今オフの広島は、投打で外国人を1人ずつ(ブレイシア、ペーニャ)を獲得した以外は、新しく入団したのはドラフト入団選手ぐらいで、現有戦力のレベルアップに期待する状況となっている。

 マイナス面では、黒田博樹が引退して先発ローテーション投手が1人、抜けた状態にある。現役最後のシーズンも10勝した黒田の穴は、数字以上に大きい。若手投手に効果的なアドバイスを送るなど、野手の新井貴浩とともに、攻守の精神的支柱でもあった黒田の不在をカバーする投手は現れるのか。数字的なことで言えば、昨季は前田健太(現ドジャース)が抜けた15勝分を、プロ6年目で覚醒した新人王右腕の野村祐輔が最多勝(16勝)獲得の活躍を見せ、文字どおり穴を埋めた。今季もその役割を果たすべく、若手投手陣がしのぎを削っている。最も期待度が高かったのが、福井優也と大瀬良大地の大卒ドラ1コンビだったが、福井は背中の張り、大瀬良は脇腹の違和感で出遅れた。特に大瀬良は沖縄キャンプに参加できないほどの状態で、開幕一軍は不安視されていた。それでも現在は2人とも復帰して開幕ローテ入りへ調整を続けており、間に合えば2ケタも期待できる潜在能力はある。

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