「日本にいてもできることはあるけれど、海外じゃなければわからないことや得られないこともたくさんあります。世界で勝てる選手になるために、レギュラーをつかみに行きたいし、そのための勝負をする場だと思っているし、前回イタリアに来た時とは自分自身の意識が全然違います」

 前回は「ほとんど喋れなかった」というイタリア語、「行けば何とかなる」と甘い気持ちでいたが、自身のパフォーマンスを上げるためには周囲の選手とコミュニケーションを取るために不可欠だと思い知らされた。2度目の挑戦となる今回は渡航前からイタリア語の勉強に励み、イタリアへ渡ってからもチームメイトやスタッフと積極的に会話を重ね、語学力向上に努めている。

 昨年末に発症したケガの影響で1カ月近くプレーすることができず、当初の想定よりはだいぶ遅くなったが、1月15日のモンツァ戦ではピンチサーバーとしてデビュー。翌週のモルフェッタ戦ではチームメイトのケガに伴いリベロで出場、さらに2月5日のピアツェンツァ戦は初のスタメン出場を果たすなど、着実にステップアップを遂げている。

 ただ単に「試合に出たからOK」ではなく、レギュラーを取るために、活躍するためには何をすべきか。今の自分に足りないものは何かを模索しながら、練習に励む日々。

「特に攻撃力はまだまだ、と課題にしている部分。もっとアピールしたいし、自分が出て、勝てたら一番いい。これからだな、という感じです」

 高校2年で初めて春高を制した時は、多くの記者に囲まれ、コメントを求められるのを恥ずかしがり、目立たないようにと人の陰に隠れていた。

 あれから5年。逞しさを増した日本のエースは今、力強い言葉を発し、真っ直ぐ前を向く。東京五輪へ向けて、もっとうまくなりたい。貪欲に、石川祐希は更なる進化を遂げていく。(文・田中夕子)

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