WBC不参加となったヤンキースの田中将大。(写真:Getty Images)
WBC不参加となったヤンキースの田中将大。(写真:Getty Images)
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 結局、メジャー組の参加は青木宣親ただ一人……。3月に開幕する第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に臨む日本代表のメンバーを見て、落胆したファンは多いだろう。最高峰のMLBでプレーする選手が出ないのであれば、“野球世界一の国を決める大会”に相応しいメンバーとはやはり言えない。

 それでは、日本人投手たちはなぜ相次いで辞退したのか。その理由を考えた時、田中将大の不参加が発表された直後の1月23日、「ニューヨーク・ポスト」紙に掲載された記事がヒントになる。

 “ヤンキースは田中の注意深さを喜んでいるに違いない”。そう題されたケン・デビッドフ記者のコラム内で、以下の3つが要因として挙げられている。

 「日本代表の初戦は3月7日に東京で開催。2月中旬にアメリカでヤンキースのキャンプインに参加した後、帰国して合流するのは日程的に厄介になる」

 「2014年に右肘靭帯を部分断裂して以降、チームは田中を慎重に起用してきた。その投手が、WBCのために早い時期から緊張感のある実戦の舞台に立つのは理にかなわない」

 「田中は今季終了後に契約オプトアウト(破棄選択)権を得る(=だからシーズンに集中し、好成績を残したいはず)」

 端的に言って、デビッドフ記者が田中のWBC不参加が妥当と考えている要因は“日程”“コンディション”“契約”の3つ。この記事は田中のみについて書かれたものだが、日本人選手に関しては、基本的にこのうちのどれか、あるいは複数が当てはまると言って良い。

 母国への距離を考えれば、アメリカから近い中南米選手に比べ、日本を含むアジア出身のメジャーリーガーのWBC参加にはそもそもハンデがある。

 契約を考えても、2017年が重要なのは田中だけではない。ドジャースと出来高重視の契約を結んだ前田健太、今季限りでFAになるダルビッシュ有、1年契約でカブスに移籍したばかりの上原浩治も同様だ。

 また、ドジャース入団時に右腕への不安が見つかった前田、メジャーキャリアを通じて故障に悩まされてきた上原に関しても、不参加を決めた(決められた?)背景に健康面の不安があったことは想像に難くない。トミー・ジョン手術から復帰2年目を迎えるダルビッシュ有も同じ。35歳の岩隈久志まで含め、それぞれのチーム内での重要度を考慮すれば、球団から「無理をしないで欲しい」と要請が出るのは当然だろう。

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