これまで大学チームが必ず出場してきたラグビーの日本選手権が、来年度から大学勢抜きで行われる可能性がでてきた。
日本ラグビー協会が大学の出場枠撤廃を検討していると複数のメディアが伝えている。12月21日の理事会で話し合う予定とされ、撤廃案が認められれば、54回目にして初めて大学が不参加になり、トップリーグのチームだけで日本一の座を争うことになる。
1960年度から3年続いたNHK杯が日本選手権の前身で、大学と社会人の一騎打ち形式だった。1963年度より日本選手権となり、第1回の覇者、同志社大学以来、常に大学チームが参加して行われてきた。第2回から第34回までは、原則、社会人王者対大学王者の戦い。第15回までは社会人9勝、大学6勝と大学勢も健闘。新日鐵釜石と神戸製鋼という社会人の絶対王者が君臨した2つの時期の間の3年間は、大学勢が2勝と勝ち越したこともある。
しかし、神戸製鋼が7連覇を達成した1994年度に大東文化大学が14-102の大差で敗れた時、社会人と学生の王者同士の一騎打ちという構図の存在意義は失われてしまった。
その3年後から制度が変更され、出場チーム数が増えてトーナメント方式が採用された。ここから日本選手権の迷走が始まったと言ってもいいだろう。
出場チーム数はその後、2014年度までの18年間に5→8→6→8→22→8→10ところころ変わり、クラブや社会人の下位リーグに出場枠を与えたこともあった。昨年度はワールドカップとスーパーラグビーに挟まれて身動きが取れず、19大会ぶりに「一騎打ち」が復活。今年度はトップリーグ上位3チームと大学王者の計4チームで行われることになっている。
トップリーグのプレーオフと同じ顔ぶれによる焼き直しの大会という批判とともに、社会人相手に大敗を繰り返す大学勢の存在が、本来、国内最高峰の大会であるべき日本選手権の価値を曇らせていた。
そこまでして残してきた大学の出場枠を、ついに今、撤廃することに踏み切ろうとしているのは、国際リーグ戦「スーパーラグビー」という錦の御旗があるからだ。
トップリーグと日本代表に加え、スーパーラグビー参戦の日本チーム、サンウルブズにも参加するトップ選手の負担軽減のためには、国内シーズンの短縮が不可避な状況。トップリーグも来年度以降、現在1チーム「15」の試合数を減らす制度変更が検討されている。
大学選手権は既に今年度から制度が変更され、出場チーム数が18から14に削減された。一昨年度の準優勝校、筑波大学は今季不振で関東大学対抗戦グループで5位。それでも、昨年度までなら全国大学選手権に出場して躍進を目指せたが、今年度は12月3日で早くも終戦となった。さらに単純な勝ち上がり制となったため、昨年度までは各チーム複数試合戦えたのに対し、今年度からは初戦で負ければそれでシーズンは終了だ。