佐藤:それはベンチャーのスタートアップにも共通しますね。
龜石:そうやって少しずつ形にしていき、いよいよ3年目という時に、東日本大震災が起きたんです。会社としてはそれまで種まきしたプロジェクトがいよいよ芽を出すという矢先でした。でも「人類が地球に生き残るためには……」と掲げていながら、ここで何もしないなんてダメでしょうとなって。
震災が起きた直後に伊勢谷とじっくり話して、翌日から支援活動を始めました。しばらく継続することになったのですが、結果として、そういう活動が、リバースの名を知ってもらえたり、活動に賛同してもらえるきっかけになったわけです。「こいつら意外と本気だ」と思ってもらえたことや、企業やいろんな自治体に知ってもらえたことが、後のリバースの活動に大きく影響しました。
■未来のために大切なのは次世代へのバトンの渡し方
佐藤:まさに“理念の可視化”によって社会が明確に認めてくれたんですね。リバースプロジェクトは大企業とのコラボもいろいろと行っていますね。僕が印象的だったのは、イトーキと組んだ「松下村塾」プロジェクトでの人材育成と地方創生なんです。実は僕もあのプロジェクトにメンターとして参加していたんですよ。
龜石:そうでしたか!
佐藤:僕は最終的に未来を変えるには、教育というのがとても大事なことだと思っているんです。
龜石:その通りなんですよ。未来のためにというのは、本質的なところを言ってしまえば、次世代にこの社会や地球をどう残していくかということだと思うんです。何百年も先のことではなく、せいぜい僕らの孫世代くらいまでは今の世代の僕らが責任を持とうよ、と。どうやって次世代にバトンを渡していくかというところに本質があると思うんです。そうしたときに大事なのは教育なのではないかと。教育とは何かと言ったら、結果的に、自分がどういう風に生きているのか、どういう価値観を持って物事に相対しているのか、ということを示してみせることだと考えます。その一端をリバースプロジェクトで担っていければよいなと思っています。
佐藤:龜石さんのように、自らがイノベーションを起こすだけでなく、次世代のイノベーターを生み出すきっかけも作るということが、未来の社会に残せる真のイノベーションなのかもしれないですね。
(聞き手/佐藤史章[TVS]、構成/神田桂一)
※『イノベーションファームって、なんだ?!』より