このレアルに立ちはだかる“壁”となりうるのが南米王者のアトレティコ・ナシオナル(コロンビア)だ。1989年のトヨタカップ以来2度目の出場となるが、出場権を獲得したコパ・リベルタドーレスでは10勝1敗3分という好成績で、最多の勝点を更新しての優勝だった。つい最近では、コパ・スダメリカーナ(南米選手権)の決勝に進出していたものの、対戦相手のシャペコエンセ(ブラジル)の選手らが乗っていたチャーター機が墜落し、選手の大半が死亡。このためナシオナルはシャペコエンセに優勝を譲ると申し出て、南米連盟からフェアプレー賞を贈られた。

 注目選手は23歳のストライカー、ミゲル・ボルハだ。屈強なフィジカルと類まれな得点嗅覚を生かし、サンパウロ(ブラジル)とのコパ・リベルタドーレス準決勝2試合で4ゴール、決勝のインデペンディエンテ(エクアドル)戦でも決勝点(2戦合計2-1)を奪うなど、勝負強さが目立った。ちなみにM・ボルハはリオ五輪にも出場していて、グループリーグ第2戦の日本戦では、彼のシュートが藤春廣輝のクリアミスを誘い2点目をチームにもたらした。

 10年ぶり2回目の出場となる全北現代(韓国)は、12月11日の初戦(準々決勝)で10年前にも準々決勝で対戦したクラブ・アメリカ(メキシコ)との顔合わせになった。10年前は0-1で敗れて5位決定戦(当時は6チーム)に回っただけに、その雪辱に燃えていることだろう。チームにはDFパク・ウォンジェ(元大宮)、DFキム・チャンス(元柏)、MFキム・ボギョン(元大分、C大阪、松本)、FWエドゥー(元FC東京)らJリーグ経験者が多いのはアドバンテージになるかもしれない。

 最後に開催国王者として出場する鹿島だが、右足第5中足骨を傷めていた柴崎岳が、CS(チャンピオンシップ)第1戦で交代出場ながら1カ月振りの公式戦に復帰し、第2戦はフル出場して優勝に貢献したのは朗報だ。CS第2戦で2ゴールをあげたエースストライカーの金崎夢生は、数的不利な状況でも強引なドリブル突破からカウンターを仕掛けられる、日本には数少ない選手だ。彼以外にも、CS第2戦で力強いドリブル突破から槙野智章の反則を誘ってPKを獲得した20歳の鈴木優磨も注目したい選手。180cmの長身に加え、驚異的なジャンプ力による空中戦も得意としている。

 1回戦で対戦するオークランド・シティの左DFには、日本人の岩田卓也がいる。33歳のベテランではあるが、クラブW杯には今回で5大会連続と経験値は高い。彼と金崎や鈴木のマッチアップも1回戦の見どころと言えるだろう。鹿島が1回戦に勝利すれば、準々決勝でマメロディ・サンダウンズ(南アフリカ)と対戦する。ここを突破すれば準決勝ではアトレティコ・ナシオナル戦が控えているだけに、鹿島には最低でもベスト4に進出して南米王者との対戦を実現して欲しいところだ。(文=サッカージャーナリスト・六川亨)

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