チャーハンの完成度が高すぎるため、ご飯を邪魔と感じてしまうのだ。明らかにチャーハン単体で食べたほうが高い満足度を得られる。聘珍樓の「チャーシューと海老入りチャーハン」。記者がこれまでの人生で出会ったどのチャーハンよりも美味だったが、これでは「おかず失格」だ。
余談になるが、会計金額にはウーロン茶が含まれていなかった。単品では800円だが、食事の際はサービスになるのだという。金額はチャーハンとライスの1840円のみ。チャーハンとしては高いように思われるかもしれないが、それだけの価値は十分にあったことを書き添えておきたい。
●冷凍チャーハンとご飯の相性は?
さて、ここまで料理店のチャーハンを3種類試食してきたが、最後にもうひとつ試してみたいものがある。冷凍食品のチャーハンだ。近年の冷凍技術の発達を受け、一部ではお店の味に劣らないとの評も。今回は冷凍チャーハンでは15年連続売り上げ1位とされる「ニチレイフーズ」の「本格炒め炒飯」(278円)を購入してみた。
電子レンジの中から取り出してみると、全体が食欲をそそる黄金色。具材はチャーシュー、ネギ、タマゴとシンプルだが、チャーシューは大ぶりにカットされており、存在感が素晴らしい。自宅の炊飯器で炊いたご飯とともにさっそくいただいた。
まずチャーハンのふんわりとした食感に驚く。冷凍とはとても思えない。味付けは比較的甘めで、チャーシューから染み出す甘辛い肉汁がいいアクセントになっている。すかさずご飯をかきこむ。
これは素晴らしかった。意外なほどご飯が進むのだ。
餃子の王将のチャーハンのように、油分が強いわけではない。比較的あっさりとした味わいであるのになぜご飯に合うのか。食べ進めるうちに理由がわかった。この「本格炒め炒飯」は冷凍食品ゆえか、米の芯にも味が染みている気がする。ゆえに味が他のチャーハンよりも持続し、これがご飯と一緒に食べるのに適しているのだ。
長い道のりとなった「ご飯に合うチャーハン」を探す旅。世界には星の数ほどのチャーハンが存在する以上、まだまだ旅路は半ばだが、ひとつ確かにいえることは「チャーハンとご飯」という組み合わせは十分に成立するということだ。そして、今回の4つのチャーハンを比較した場合、「餃子の王将」のものと「ニチレイフーズ」の冷凍食品が頭一つ抜きんでていると言えそうだ。
この2つの順位を、記者の主観でつけてしまうことはしない。無限の可能性が秘められた「チャーハンとご飯」の旅路の第一歩として、ぜひご自分で食べ比べてみていただきたい。(ライター・小神野真弘)