今年5月の出産後、仕事に復帰したばかりの女優の杏さんが、自身のエッセー集『杏の気分ほろほろ』(朝日新聞出版)のサイン本お渡し会を、11月3日に有隣堂書店アトレ恵比寿店で開催。予約整理券150枚は告知後あっという間に配布が終了し、当日は杏さんのサインを求めて読者が長蛇の列を作った。ファンは年配の女性や子供連れも多く、老若男女問わない幅広い人気を見せつけた。
前著『杏のふむふむ』(筑摩書房)に続き2冊目となる今回のエッセー集は、2013年1月から3年半続けた、朝日新聞デジタルでの連載をまとめたもの。掲載されたエッセー40編に、このために書き下ろされた「その後の話」をたっぷり収録している。たとえば朝ドラ「ごちそうさん」の裏話として、着物での撮影は「柄合わせ」のために時間がかかる、朝ドラの他の作品で使われた着物や小道具がひょっこり顔を出しているといった興味深いエピソードや、大阪滞在中の空き時間に淀川へうなぎ釣りに行った思い出などがつづられている。
さらに、杏さんに本書のこだわりを聞いたところ、杏さん自ら万年筆で手書きしたという「杏」年表だと話す。これは編集作業も終盤に差し掛かったころに、杏さん自身の発案で急きょ追加が決まったものだといい、本書に書かれた数多くの仕事やエピソードを一覧で見ることができる。「教科書や歴史の本にあるような年表がついていると面白いのでは?」という発想から生まれたもので、さすが“歴女”で知られる杏さんらしい。
お渡し会では、落款(らっかん)印の押されたサインに加え、一人一人の宛名を杏さんがその場で丁寧に記し、読者を喜ばせた。サインに使ったのは筆ペン。本書カバーイラストも杏さんが描いたというが、イラストだけではなく、見事な達筆ぶりを披露した。