
「アルゼンチンに大打撃」
11月1日(現地時間、以下同)、世界のスポーツメディアが一斉にそう報じた。2018年W杯南米予選で出場資格のない選手を起用したとして、FIFA(国際サッカー連盟)がボリビアに処分を下し、0-0だったチリ戦、2-0の勝利だったペルー戦について、いずれも0-3で相手側の勝利としたのだ。
これで勝ち点2が加わったチリはアルゼンチンと同勝ち点とし、得失点差の関係で5位に浮上。大陸間プレーオフ出場権を得られる5位につけていたアルゼンチンは、6位に転落する羽目となった。
ボリビアから“不意打ち”を食らったアルゼンチンは10日に宿敵ブラジル、15日にコロンビアとの予選を戦うが、ここで勝ち点を得られないと非常に厳しくなる。W杯出場圏外に落ちた今、アルゼンチンは上位チームを叩いて這い上がらなくてはならない。
アルゼンチンにとって、今回はリオネル・メッシを使えることが何よりの朗報だ。ヘラルド・マルティーノ前監督が率いた試合も含め、今予選のアルゼンチンはメッシが出場した3試合にすべて勝利しているが、彼が不在だった7試合ではわずかに1勝となっている。
代表OBのフアン・ロマン・リケルメはFIFAのインタビューで「メッシがケガをしないことを祈ろう。彼が故障したらどのチームでもアルゼンチンを倒せてしまう。世界最高の選手であるメッシがプレーしているときの我々は強いが、彼がいなければ平凡なチームだ」とまで言い切っている。
もちろん、リケルメはそう話すことでメッシを称えているつもりだ。しかし、期待がメッシに一極集中するあまり、彼には過度なプレッシャーがかかり、メディアからのバッシングにも繋がっている。6月のコパ・アメリカでPK戦の末にチリに敗れた際、メッシはショックのあまり代表引退の意思を口にした。のちに撤回したが、周囲のプレッシャーが彼を追い詰めたことは、引退騒動の際に親友のアグエロが「メディアはメッシをまるで犯罪者のように報道している」と話したことからも明らかだ。