もちろんそうは言っても、近未来に渡米してくる可能性がある選手の中では最高級の素材と考えられているのは間違いなく、もしも来季にメジャー行きとなれば、一気に大変な騒ぎになるに違いない。特に今オフのマーケットではFAの好投手が枯渇しており、その中ではダントツの人気商品になる。ヤンキース、レッドソックス、カブス、ドジャースといった金満ビッグマーケットチームも手を挙げることは確実だ。
冒頭で記したスカウトを言葉を見ても分かる通り、基本的にアメリカでは大谷は投手として受け取られてきた。これまでに世に出た報道でもほとんどがピッチャーとしての評価。ただ、今季に打撃でも素晴らしい成績を残した後で、「The Ringer」は野手としての大谷の価値にも考察を巡らせている。実際にメジャーでの争奪戦が始まる際、大谷がどれだけ二刀流にこだわるか、どのチームがそれを許すか、どんな起用法を提示するかが獲得の焦点にもなるはずだ。
繰り返すが、現状ではまだ加熱しているとは言えないが、一方でシーズン終了とともに一気に火がつく可能性もある。あるいは来春の第4回ワールド・ベースボール・クラシックの時期に……。米球界が“オオタニマニア”で揺れる日が確実に迫っていることは間違いないのだろう。(文・杉浦大介)