マンチェスターUで苦戦を強いられるモウリーニョ監督(写真:Getty Images)
マンチェスターUで苦戦を強いられるモウリーニョ監督(写真:Getty Images)

 現地時間10月29日に行われたイングランド・プレミアリーグ、マンチェスターU対バーンリーの一戦。スコアレスドローで終わると、マンチェスターUの本拠地「オールド・トラフォード」は強烈なブーイングに包まれた。

 試合の主導権を完全に握ったマンチェスターUは37本ものシュートを放ったが、最後までネットを揺らせなかった。マンチェスターUのシュート数「37」は、2003-04シーズン以降のプレミアリーグでは最多。複数あった決定機をモノにできなかったズラタン・イブラヒモヴィッチも、国内リーグでの無得点が6試合に伸びてしまった。こちらも、2007年にインテル(イタリア)で記録した無得点記録を更新中である。

 しかも、主審の判定に納得のいかないジョゼ・モウリーニョ監督が、審判団に暴言を吐いたとしてハーフタイムに退席処分。後半にはアンデル・エレーラが2度目の警告を受けて退場と、歯車が噛み合わないまま試合終了のホイッスルを聞いた。

 この日の結果、マンチェスターUは首位マンチェスターCと8ポイント差の8位に転落した。国内リーグ戦では4戦未勝利となり(3分1敗)、英紙『デイリー・ミラー』も「モウリーニョ、赤い霧に包まれる」の見出しで危機感を煽っている。早い時間帯に先制点を奪っていれば勝利は固かったように思うが、「絶対的なクオリティが欠けていた」(英紙『タイムズ』)との指摘通り、ここまでアウェイで全敗中だった昇格組のバーンリーに対して勝ち切れないところに、エンジンのかからないモウリーニョ体制の問題点が表出していた。

 振り返れば、アレックス・ファーガソン前監督の退任以降、マンチェスターUは「大型補強」と「人員整理」を繰り返している。

 デイヴィッド・モイーズ監督(2013-14)に始まり、ルイス・ファン・ハール監督(2014-2016)、そしてモウリーニョ監督(2016-)。新指揮官が就任する度にお目当ての戦力を補強する一方、とくにファン・ハール政権では、容赦ない人員整理も行われた。破壊と再構築を行なったファン・ハールが自分仕様に仕上げたところで、モウリーニョ監督がマンチェスターUを引き継いだ、との見方もできるだろう。

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