いつの間にか、この時期のイベントとして定着した感のある「ハロウィーン」。渋谷や原宿などでは、本場顔負けの盛り上がりを見せ、もはや東京では最も街がにぎわうイベントとなった。ところで、私は今「本場」と書いたが、いったいハロウィーンの「本場」とはどこなのだろう。そしていったい日本でこんなに盛り上がり始めたのはいつなのだろうか。
●原宿発祥のイベント
ハロウィーンが日本に初めて上陸したのは、1970年代で、キデイランド原宿店において海外のハロウィーングッズを販売し始めたのが最初であるといわれている。意外に思うかもしれないが、東京ではすでに40年以上も歴史のあるイベントなのだ。その後、1983年に同店において「ハロウィーン・パレード」が日本で初めて開催された。この時の参加者は100名程度だったようだが、今では原宿のパレードには1000名以上の参加者がある。
その後、1997年から東京ディズニーランドにおいて「ハロウィーンイベント」が毎年開催されるようになり、一気に「ハロウィーン」の名前は全国的に広がっていった。
●キリスト教は後付け
さて、「Halloween」は「Hallows evening」の意味で、キリスト教における万聖節(11月1日)の前の晩を指す言葉である。わかりやすく言えば、クリスマスイブのようなイメージだろうか。クリスマスイブを盛大に祝いながらクリスマス当日はほとんどスルーする日本人にとっては、ハロウィーンが同じような扱いになるのも無理はない。
ところが興味深いことに、キリスト教において「Halloween」を苦々しく思っているキリスト教地区もあるらしい。これはこの「Halloween」というイベントの起源に由来している。
●この世とあの世の境目がなくなる日
もともとハロウィーンは、キリスト教由来のイベントではない。
その起源は、はるか昔、まだヨーロッパでローマ帝国がゲルマン民族など戦いを続けていた時代にさかのぼる。日本語ではケルト人、英語圏ではゲール人、ローマ人にはガリア人などと呼ばれていた、古代ヨーロッパ人の宗教のお祭りにある。
さまざまな民族の侵攻などにより、ヨーロッパの祖先はわかりにくくなっているが、それでもケルト人の血脈は現在のアイルランド、スコットランドなどの地域に受け継がれている。ケルトを自認するアイルランドは、駐日大使館でも正統派のハロウィーンイベントを毎年開催している。