4回の2本塁打は、いずれも直球を打たれた。実は松山は速球派にめっぽう強く、今季は藤浪晋太郎(阪神)や菅野智之(巨人)が登板するたびに、新井貴浩に代わって打線に入っていたのだ。なおかつ、松山、エルドレッドともに交流戦で大谷から本塁打を放っていた経験があり、苦手意識がなかったことも大きい。

 第2戦も、広島は小技でかき回した。1-1で迎えた6回無死二塁、2番菊池涼介がカウント2ボール1ストライクからバスターを成功させた。遊撃手中島が二塁ベースに寄ったところ、遊撃の定位置付近に打球を転がした。左中間へ抜けた打球で、二塁走者の田中広輔が生還。リプレー検証となる微妙なタイミングだった。無死だけに三塁ストップが一般的なセオリーだが、前のめりの失敗はOKというベンチの攻撃的姿勢が奏功した。菊池にはバントのサインでも、ある程度の自由が認められているという。広島は日本シリーズだからといってかしこまらず、普段通りの足を使った野球ができている。

 第3戦は舞台が札幌ドームに移る。広島は、今季限りでの引退を表明した黒田博樹が先発する予定。この試合を取れば、王手をかけられる。だが、黒田は札幌ドームで過去3試合に投げ(巨人戦2、日本ハム戦1)、0勝3敗というデータもある。また、日本ハムはチームきっての打力を持つ大谷が、指名打者としてスタメンに入る可能性も高い。日本シリーズの2連勝スタート(△○○も含む)は優勝確率76%と、データでは広島が有利なことは確かだ。だが、カープファンでほぼ埋まるマツダスタジアムから球場が変わることで、潮目が変わる可能性も十分ある。(文=日刊スポーツ・斎藤直樹)