強いプレッシャーが乾・三井ペアを襲う。そんな2人を支えていたのは、2014年から日本代表に復帰した井村雅代ヘッドコーチに受けた、地獄のような厳しいトレーニングの日々だった。
「たくさんのしんどい練習を乗り越えて、気持ちの面でも強くなれた」
乾の言葉通り、日本はリオデジャネイロの空の下、五輪用のプログラムである『風神雷神(嵐のち晴れ)』を華麗に舞う。乾のしなやかさと美しさ、三井の力強さとキレが鮮やかに掛け合わさり、絶妙なハーモニーを奏でていく。乾と三井が右手を高く空に突き上げて演技が終了したとき、会場は大きな拍手に包まれた。
フリールーティンの得点は、94.9333。テクニカルルーティンとの合計が188.0547と発表されたあと、井村ヘッドコーチは満面の笑みで乾と三井を迎え入れた。
日本から2組後に行われたウクライナは、長い手足を生かした伸びやかで美しい演技が魅力のチーム。3分30秒の演技が終了し、ウクライナの結果を待つ時間は、乾と三井にとって今までで最も長い時間だったことだろう。ウクライナのフリールーティンが94.0000、合計は187.1358と発表されたとき、デュエットでは北京五輪以来となる2大会ぶりのメダル獲得という、日本に歓喜の瞬間が訪れた。
「五輪のメダルのためにここまでやってきました。地獄のような日々を過ごしてきたけど、その日々が報われました」
笑顔を浮かべ、三井はこう話した。