自費診療の費用は、各施設が自由に決めるので幅があります。もし勧められた自費診療の費用が高いのか安いのか判断に困ったら、近隣の国公立大学病院の治療費を目安にするとよいでしょう。
「大事なのは、どんな治療の選択肢があるのかを、歯科医師にきちんと提示してもらうこと。そして治療費だけでなく、自分の歯の健康にとってどの方法がベストなのか。歯科医師の意見を参考に、自分で治療法を選ぶことが大切です」
■保険が利くものは2種 自費は種類が豊富
保険診療のクラウンは大きく分けて、白いプラスチック(硬質レジン)と金銀パラジウム合金(銀歯)の2種類。
前歯、犬歯、小臼歯は白いプラスチックが保険で使えますが、大臼歯は金銀パラジウム合金だけ。大臼歯に白い歯をかぶせると、金属アレルギーのような特別な場合を除き、自費診療になります。
自費診療で使う白いかぶせものは、大きく分けてプラスチック、プラスチックとセラミックスを合わせたハイブリッドセラミックス、セラミックスの3種類です。
プラスチックは、数年間使うと色がくすんできます。色が天然歯に最も近いセラミックスは、高価ですが強度もあり、また、プラークが最もつきにくいので、むし歯になりにくいといえます。金属のかぶせものの費用は、金の含有量、白金などその他の金属の含有量によって異なります。
■薄くて違和感少ない自費で作る金属床
床(しょう)の素材によって入れ歯の費用は異なります。保険診療で使うのは、プラスチックで作られたレジン床。見た目は悪くありませんが、床が厚く、装着したときに違和感が出る、サ行、タ行、ラ行が発音しにくくなることがあります。
自費で作る金属床はプラスチック床よりも薄いので、違和感が少なく、発音もしやすいのがメリット。またプラスチックは熱を通しませんが、金属床の入れ歯は、食べ物や飲み物の熱さや冷たさを感じることもできます。
プラスチック床で自費になるものがノンクラスプデンチャーです。金属のバネ(クラスプ)がついていないので、保険診療のものより、見た目がよくなります。
入れ歯は本体の価格以外に、設計診断料、かみ合わせの調整料などが必要になることがあるので要注意。事前に見積書で、諸費用もきちんと確認してください。(取材・文/植田晴美)
※週刊朝日MOOK『いい歯医者2016』では、クラウン(かぶせもの)や入れ歯の値段の違いを、写真付きで詳しく解説しています。