保険・自費別の治療一覧(『いい歯医者2016』より)
保険・自費別の治療一覧(『いい歯医者2016』より)
この記事の写真をすべて見る

「どうして保険の利く治療と、利かない治療があるの?」というのは、誰もが持つ疑問です。保険診療と自費診療では何が違うのでしょうか。週刊朝日MOOK『いい歯医者2016』で、歯科医師に治療費事情について、じっくり聞きました。

*  *  *

 説明してくれたのは、クボタデンタルオフィス院長の久保田智也歯科医師です。同クリニックでは、保険の利かない自費診療を選択する患者さんも少なくないそう。保険診療と自費診療の違いを次のように話します。

病気の治療として必要なものは保険が使えます。より高いレベルの快適さ、美しさ、耐久性などを求める場合は自費診療となる、と考えるとわかりやすいでしょう」

 保険診療は治療法や使える材料などに制約があります。一方、自費診療は費用は高くなるものの、そうした制約がありません。

「一般的に、保険診療よりも、自費診療のほうがより質の高い治療が受けられると考えていいでしょう。だからといって、保険診療だと質の悪い治療しか受けられないということではありません。患者さんの年齢や、口の中の状態、生活習慣などによって保険診療でまったく問題のないケースもたくさんあります」(久保田歯科医師)

 また“自費診療を勧める歯医者はお金もうけに走っている”と決めつけるのも、正しくありません。自費診療がより高額になるのは、使う材料の差(材料費)、歯科医の技術料がプラスされるなど、きちんとした理由があります。

■歯科には保険+自費“接ぎ木方式”も

 具体的な治療内容で見ると、むし歯や歯周病の治療は保険の範囲内でおこなわれることが多いでしょう。クラウン、ブリッジ、入れ歯は保険と自費の両方から選べます。矯正治療やインプラント治療、予防ケア、歯科ドック、審美歯科は自費診療のみとなります。

「ただし、唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)で摂食障害がある場合の矯正治療など、健康維持のため、必要な治療については例外的に保険が使えます」(同)

 保険診療と自費診療の併用は認められていません。しかし歯科治療に関しては、「接ぎ木方式」というやり方が認められています。

「むし歯の治療を例に説明すると、歯の根の治療を保険で実施したとします。次の段階として歯にかぶせものをしますが、それを保険で治療するか、自費で治療するか、自分で選べるのです」(同)

次のページ