漢方薬局やクリニックでは、患者さんに合わせて一つひとつ手作業で調剤する(※写真はイメージ)
漢方薬局やクリニックでは、患者さんに合わせて一つひとつ手作業で調剤する(※写真はイメージ)
数種類の生薬を均等にブレンドして1日分ずつ分包する(※写真はイメージ)
数種類の生薬を均等にブレンドして1日分ずつ分包する(※写真はイメージ)

 漢方薬局ってどんなところ? どんなことを聞かれるの? どんな薬が処方されるの? そんな疑問の解決のため、44歳の女性ライター自ら初体験してきました!

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 伺ったのは明治2(1869)年創業の老舗漢方調剤店、高島堂薬局。

 漢方薬局は、薬剤師がじっくりと話を聞き、体質や症状に合った薬を見立ててくれるのが普通の薬局とは異なる大きな特徴。問診だけでなく、舌の状態のチェックも行われます。さて、私の舌はどんな状態でしょうか?

「白っぽくて元気のない色をしていますね。うっすらと歯形がついているので水が少し滞っているのかもしれません」(薬剤師・岡田麻美子さん)

 岡田さんの見立てによると私は気がのぼりやすいタイプとのこと。

「今、こうしてお話をしていても顔がどんどん赤くなってきています。顔に気がのぼっているのでしょう」

 ほかにも、肌質や吹き出物の有無、目の動きや声の大きさなど、患者の様子の全てが“証(しょう)”を立てる大きな手掛かりになるのだそう。

「Mさんは、ここにいらしたときからそわそわとからだを動かしていたので気が定まらず、落ち着かないんだなということが見ていてわかりましたよ」と岡田さん。えっ、そんなところまで見られていたとは! 確かに当たってる!

 問診を受けてみて、トイレが近いとか、眠りが浅いとか、改めて気づいた点がたくさんありました。しかもそれら全てが同じ原因から起こっている症状だったことがわかったのも大きな発見です!

「お薬を飲み始めてから10日から2週間くらいで体調が変わってくる方が多いようです」(岡田さん)とのことなので、とりあえず、2週間分の処方をお願いし、様子を見ることに。ベースになっている桂枝湯には、よつんばいになったときに太陽の光が当たる部分――後頭部や首や肩の後ろ側、背中などのこりや張りを取る効果もあるらしいので、長年の悩みだった肩こりの解消も期待できそうです。

 はじめて漢方薬を飲んだ感想は「おいしい!」。「苦い」「まずい」というイメージがあったのですが、まったくそんなことはなし。

 飲み始めて2週間も経つと毎朝苦労していた寝起きが少し楽になり、手足の冷えも和らぎ始めました。でも、何より一番の収穫は、イライラすることや落ち込むようなことがあったときに、「漢方飲んで落ち着こう」と気持ちを上手に切り替えられるようになったこと。いまやすっかり習慣となってしまったので、これからも飲み続けていきたい!

※週刊朝日ムック『正しく付き合う漢方2016』

■高島堂薬局
東京都文京区本郷5-24-4
営業時間/9:00~19:00
定休日/日・祝・第1・3土曜

※5月21日開催 漢方・中医学の基本がわかる講演会 「今から始める 女性のための漢方レッスン」
http://publications.asahi.com/news/598.shtml