大学から社会人などを経ずに直接プロ入りした野手の新人王は、09年の松本哲也(専大→巨人)が最後だが、松本の受賞はプロ入り3年目。プロ1年目の受賞となると、セは89年笘篠賢治(中大→ヤクルト)、パは69年有藤通世(近大→ロッテ)までいない。今年は久々に受賞者誕生なるか。

 意外な部門トップに立ったのは、鈴木大地(ロッテ)だ。今季3本塁打は、大谷翔平日本ハム)の2本、中村剛也(西武)や柳田悠岐(ソフトバンク)の1本などを抑えて、パ・リーグで最多。過去4年間で492試合に出場しながら14本塁打だった男が、今季は8試合で3発。「ホームランは病気だと思ってます」と、大振りになることを戒めるようなコメントを残した。

 セ・リーグでは守護神を務める沢村拓一(巨人)が3勝目を挙げ、ハーラーダービーのトップに立った。88年にはヤクルトのクローザーだった伊東昭光(ヤクルト)が、先発0、交代完了48ながら最多勝(18勝)を獲得している。沢村はセーブでもトップタイ(3セーブ)だが、どこまで勝ち星を伸ばすか。ちなみに伊東は同年17セーブだった。

 セの盗塁王は現在32歳、プロ15年目の天谷宗一郎(広島)だ。10年には18盗塁(セ8位)したこともあるが、最近3年間の盗塁数は3→4→3と寂しかった。過去の最年長盗塁王は82年福本豊(阪急)と93年大石大二郎(近鉄)の満35歳シーズン。満33歳シーズンの天谷が、過去5年間、20代の選手が占めてきたタイトルに割って入ることができるか。

文=日刊スポーツ・斎藤直樹