防大関係者の話を総合すると、防大の卒業生が卒業後1年以内に自衛隊との縁を切るには、3つの方法があるという。ひとつは卒業時、任官を拒否する「任拒(ニンキョ)」。もうひとつが先に紹介した「隠れ任官拒否」、そして「着拒(チャクキョ)」である。着拒とはどういうものだろうか。

「いったん、任官する意志を示して、防大を卒業します。ですが、幹部自衛官として訓練を受ける場である幹部候補生学校に“着校”せず、メールや電話、郵便で、自衛隊を辞める意思を伝えることです。幹部候補生学校では、着校時には全員が来るものとして準備している。たとえば、海上自衛隊ならば、短艇係や当直の割り振りも済んでいる。着拒した者が出ると、その分、誰かにしわ寄せが来ますので、非常に嫌がられます」(防大OB)

 ただし、着拒する卒業生にも言い分はある。30代半ばの防大OBがその心情を明かす。

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