「学ばせてくれる彼だけだと私もつまらないです。お酒を飲みながらするお話が楽しい彼、顔だけ好きな彼と、私の日常とはかかわることのない彼らとのお付き合いもまた私という人間の幅を広げてくれるというものです」(同)

 イケメン好きなアユミさんの「顔だけ」の機能別彼氏は、知的、癒やし系、かわいい系、カッコいい系などなどと細分化、“使い分け”ているという。

 複数の男性との交際に嫌悪感を持つ向きもいるかもしれない。だが彼女たちは、「法的には問題はない」(アユミさん)と語る。たしかに、その好悪はさておき、不倫とは異なり、独身者同士の恋愛なのでとがめられる理由はない。なかには既婚者もいるがその場合は、「プラトニックな関係に留めている」というからモラル面での管理は徹底している。

 機能別彼氏を持つ彼女たちは、その存在を交際するすべての男性に率直に話すという。「等身大の自分を知ってもらう」(冒頭部で紹介したカナさん)ためだ。

 しかしこれは男性側にとっては諸刃の剣ともいえる。複数の機能別彼氏を持つ女性との交際経験のある男性ふたりに聞いた。

 ひとりは「男性に目の肥えた女性に選ばれたという自信がついた。ほかの男性の存在は自分も刺激を受けよい影響を与えてくれた」と肯定的。だが、もうひとりは「他の男性の存在が気になり嫉妬で狂いそうになった」と否定的に語る。

 普段使いの本命彼氏、諸々の機能別彼氏たちが、他の「機能」を牽制するようになると日常生活にも支障がでる。それさえ気をつければ一度切りの人生を楽しむ手段といえるかもしれない。

※本文中、カタカナの名前は仮名です。

(ライター・志村ひな子)