「まだまだヨーロッパの基準で、そして世界の基準でゴールキーパーとして成長したい。何よりもっともっと、ただただ単純に上手くなりたい。(中略)今はただ、自分自身の道を信じること、そして必ずいい方向へいくと信じています」

 選手である以上、当然の気持ちだろう。ただ、このまま所属クラブが決まらず、半年以上のブランクがあると、選手生命を脅かしかねない。現実的な解決策として、Jリーグへの復帰も視野に入れた方がいいだろう。

 一方、長年にわたり日本代表を支えてきたDF長友佑都も岐路に立たされている。9月のW杯アジア2次予選で、半年ぶりの代表復帰を果たしたものの、所属チームのインテル・ミラノ(セリエA)では出番を完全に失いつつある。その要因は、再発した右太ももの筋肉痛。だが、完治しても、今シーズンはまだ一度も出番がない。チームの構想では、長友は、左右どちらのサイドバックでも3番手という位置付けだ。もはや主力選手とはいえない状況である。

 これに加えて、インテルは開幕5連勝で首位をキープして絶好調で、長友の出場機会はますます限られる。こうした状況が続けば、所属チームのみならず、日本代表でも、そのポジションは安泰とはいえない。ただ、彼の実力からすれば、レギュラーで活躍できるクラブは少なくない。Jリーグ復帰も視野に入れ、新天地を探すのもひとつの選択肢である。

 専門家は長友についてどうみているのか。東京V元監督で、サッカー解説者の川勝良一氏はこう指摘する。

「日本復帰は彼のプライドが許さないだろうが、移籍が解禁となる来年1月にはインテルを離れて、新しいクラブでスタメンを確保して、再びビッグクラブへの移籍を狙ったほうがいい」

 このような例は、ヨーロッパではいくらでもある。あの本田圭佑も同じような経緯で、ビッグクラブのACミランに移籍を果たしている。長友もこの手法を参考にすべきではないだろうか。

(サッカージャーナリスト・六川亨) 

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