ちなみに、日本の有人島を南鳥島をのぞいて踏破した人はいる。『トカラ列島』(光文社)など島に関する著書を多数持つ著述家・旅行家の斎藤潤さん(61)だ。有人島でも定期交通がない島もあるので、達成までに数年を要したが、さらに渡島が難しい無人島を全踏破した人はまだいない。そもそも、渡島の手段がないし、立ち入りが禁じられている島も多い。でも、情報から想像を膨らませ脳内踏破することならできるわけだ。

『秘島図鑑』には興味深い無人島が30以上紹介されているが、島の情報集大成と言うことなら、日本の大・島図鑑とも言うべき書籍も存在している。2004年に(公財)日本離島センターから出版された『SHIMADAS』だ。1993年に初版が出版され、最も新しいものは2004年に出たものである。これには有人島無人島含め1100島が掲載されている。『SHIMADAS』も『秘島図鑑』と同じく、好きなところからページをめくると「えー、こんな島あったんだ!」「えっ、この島ってこんな歴史を持ってたの?」など、脳内トリップを楽しむことができる。

 ちなみに『秘島図鑑』には入らなかったが魅力的な島を清水さんにあげてもらうと「まず北海道枝幸郡枝幸町のゴメ島です。オホーツクの海に浮かぶ周囲1キロ程度の島ですが、オホーツク文化期にここに暮らしたオホーツク人などの遺跡があるんです。島は個人の私有地で、そのクローズ感も惹きつけられる要因ですね」。さらに「日本最大の無人島である渡島大島(おしまおおしま・北海道松前郡松前町)も気になります。この島ではかつて羽毛採取のためにオオミズナギドリが乱獲され、現在は無人島だけれど、ネズミやウサギがいるためにオオミズナギドリの数が増えないという自然と外来種の問題が散見できます」

 その他には青森県西津軽郡深浦町の久六島(きゅうろくじま)も気になるという。この島は艫作崎(へなしざき)の西方沖合約30キロのところにあるが、1950年代までニホンアシカが確認されていたそうで「絶滅したといわれているニホンアシカが60年あまり前までいたというところに、人の手が及ばない秘島感を感じます」(清水さん)。

 日本にはまだまだ知られざる島がある!週末には「行けない島」に空想旅行して孤島感を楽しんでみよう。(島ライター 有川美紀子)

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