この30歳男性こそ冒頭で紹介した大手企業勤務のエリートだ。出会いを求めない彼は、ずっと転勤先の地方で枯れた生活を送っていた。このため、潤いのある日々を目指したいとの思いもあったのだろう。相談とは、つまり女性を紹介してほしかったわけだ。
そして、その彼は、トモコさんに紹介してくれた女性のことを、「あまりにもかわいくて一目ぼれ。寝ても覚めても彼女のことが忘れられない」と語ったという。
「相談したいことがある」――この、ほんのひと言でも若い世代の意図を察する。そして短期間で相思相愛となる人を連れて来る。ここに“お見合いおばさま”の醍醐味がある。
厚生労働省が発表した2014年度の「人口動態統計(2014)」の年間推計によると、日本国内の婚姻件数は64万9000件、婚姻率は0.52%だ。前年度から0.01%ポイントの減少だ。
戦前から戦後の一時期、婚姻率が今よりも高かったのは、どこの町にもひとりはいた“お見合いおばさま”の存在があったからだという。