長男、次男、三男の3人を、関西一の名門校と言われる灘校(灘中学校、灘高等学校)へ進学させ、さらに3人全員を最難関で知られる東大理科III類(医学部/通称・理III)に合格させた佐藤亮子氏。
そんなゴッドマザーこと“プロママ”の佐藤氏は、著書『受験は母親が9割 灘→東大理Ⅲに3兄弟が合格! “プロママ”のスーパーメソッド』(朝日新聞出版)で、自身の教育方法を惜しみなく披露している。
意外なことに、佐藤氏自身「学力至上主義」ではないという。3兄弟の実績から、学歴コレクターなのかと思われがちだが、「考えていたのは、子どもたちの可能性をめいっぱい伸ばして、最良の人生に送り出すことだけ。それぞれの子を最大限、手助けしようと思っていました」(同書より)と述べている。
一方でたとえどんな立派な肩書の専門家が書いた育児書でも、そのまま実践してはいけないと断言。子育てに臨む際、教育熱心な佐藤氏は、あらゆる育児書に目を通したが、子どもには1人1人個性があり、性格や体質も異なる。情報にすぐ飛びつくのではなく、自身で考えて教育すべきだと訴えている。
何事も鵜呑みにせず、自分の頭で考えるという佐藤氏の姿勢が、最も顕著に表れたのが文部省(現・文部科学省)の方針への疑問だ。
長男が生まれた時期は、文部省が、「ゆとり教育」を提唱し始めた頃と重なる。従来の詰め込み教育は否定され、週休5日制の導入で、授業時間は削られた。
これに対して佐藤氏は“知識の蓄積があるからこそ、応用力が生まれる、暗記は脳が若いうちにやる方が良いはずだ”と、当時の文部省の方針に、不信感を抱いた。