■「イクメン育て」にも「褒め育て」が有効
「育児スキルも、ピアノやテニスと同じように、上達するにはトレーニングを積むしかありません。『テニス上達法』という本を何万回熟読しても、実際のテニスがうまくならないのと同じ。とすれば、とにかく育児をやり続ける武士沢さんのモチベーションをキープあるいは向上させるのが、武士沢さんをイクメンにしたいと願うコーチの奥さんがすべきこと」
うむ、たしかに……。
「テニスがヘタな子を叱り続けて厳しいしごきを繰り返せば、その子の心は折れ、テニス自体が嫌いになって挫折してしまいます。今の武士沢さん同様、PTSD(心的外傷後ストレス障害)状態。そんなふうに一度挫折した人が、再び同じこと(テニス・育児)をやろうと前向きになるのは、とても難しいんです」
まさに拙者の今の心情よ!
「私は、多くのお母さんが、わが子に実践している『褒め育て』をイクメン育てにもぜひ活用すべきだと思うんです。この際、子どもがふたりいると思って(諦めて)、できて当たり前のことでもできたら徹底的に褒める。これを『強化学習』といいますが、欠点を指摘して成長させようとするより効果はずっと高いんです」
妻よ、ここに赤ラインを引いておくゆえ、とくと熟読されたし!
「もちろん武士沢さんが努力すべきこともありますよ。子どもが落ちたのは、武士沢さんには想定外でしたが、ママだったら最初から『子どもが落ちる可能性がある』のは想定内で、そのための回避策を当たり前のように取ったのではないでしょうか?」
うむ。そこが「母の勘」よのう。
「たしかに女性は直感力が男性よりも優れているようです。これは女性が『ノンバーバルコミュニケーション』(言語を使わない伝達)に長けているから。子どものちょっとしたしぐさや表情から、その後の行動を敏感に察知・推測できる」
それを男の拙者に求められても無理というもの!