確かに日本は拙攻の連続だった。W杯予選初戦のプレッシャーからか、香川は力んでシュートを打っていた。普段の岡崎なら冷静にコースを狙うか、強烈な一撃を見舞うところ、慌てたのかアバウトなシュートで相手GKを調子づかせてしまった。槙野が2メートルという至近距離からのシュートを外したのも常識では考えにくい。また、ドリブル突破を得意とする宇佐美や原口、武藤らも、どこか「おっかなびっくり」で、まるでミスを恐れているかのような消極的なプレーだった。もっと強引な突破を図っていればPKを獲得できたかもしれない。
ただし、そのように日本を追い込んだシンガポールの健闘も見逃せない。「4-1-4-1」のシステムから、DFの「4」と中盤の「4」はコンパクトな2ブロックを作り、中盤の「1」は香川をマンマークして、狭いスペースに日本の攻撃陣を押し込めた。このため、マイボールになっても第一選択肢であるタテパスを出せない。そこでヨコパスが増え、遅攻になることで、ますますシンガポールの術中にはまってしまった。