来年はメジャーで鳥谷の雄姿が見られるかも!?(c)朝日新聞社 @@写禁
来年はメジャーで鳥谷の雄姿が見られるかも!?(c)朝日新聞社 @@写禁
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スポーツライターの小関順二氏
スポーツライターの小関順二氏

 阪神・鳥谷敬(遊撃手)のメジャーリーグ挑戦をめぐって、いろいろな意見が飛び交っている。最も多いのが、「日本人の内野手はメジャーで通用しない」。 打球がイレギュラーする、天然芝やアンツーカー(レンガなどを粉砕した赤褐色の土)が敷かれたメジャーの球場では、イレギュラーしない人工芝に慣れた日本人内野手は対応しきれない、というのだ。

 西岡剛(ツインズ2011~12年)がメジャー2年間で50安打しかできずに帰国した13年あたりからよく聞かれる言葉だが、内野が土の甲子園球場で長くプレーしてきた鳥谷には関係のない話だ。それに、たとえ失敗する可能性のほうが高くてもメジャー挑戦は鳥谷の野球人生に大きな財産になるはずだ。

 06年から始まったMLB主催のWBC(ワールドベースボールクラシック)に続き、15年にはIBAF(国際野球連盟)主催の世界大会「IBAFプレミア12」が開催される。2年に1回世界大会が開催される。その合間には事業化された日本代表チーム「侍ジャパン」が、日米野球や「21U(21歳以下)ワールドカップ」などを戦う。

 時代は、野球に国際化を求め、野球人にはグローバルな視点が求められている。そういうとき、キャリアの中に「アメリカ」があるのとないのとでは大違いである。鳥谷が残り389本に迫った通算2000安打や、連続試合出場の記録を中断してまでメジャーに挑戦するのは至極当然だと思う。

 さらに、鳥谷のような一流選手がメジャーに挑戦するとき必ず言われるのが「このままでは日本のプロ野球はメジャーリーグのマイナーになる」。“メジャーリーグのマイナー化”を防ぐためには何をしたらいいのだろう。「日本がアメリカと並ぶ野球大国になる」―それしか方法はないと思う。

 野球大国が「試合に出場できる外国人選手は1チーム4人まで」という人数制限を設けているのは恥ずかしいことだし、日本人選手の出場機会を奪わないで外国人の人数制限を撤廃するためには、球団数を増やすしかない。最低でもセ・パ両リーグで16球団はほしい。さらに野球大国である以上、人工芝の球場は減らしてほしい。そういう野球環境を整えて、WBCなどの国際大会で勝利を重ねていく。それができたら、日本のプロ野球の“メジャーリーグのマイナー化”は防げるかもしれない。鳥谷のメジャー挑戦を報道などで見聞きするたび、そんなことを考える。

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