10月25日から始まる日本シリーズは、クライマックスシリーズ(以下CS)の戦い方が影響すると思う。はっきり言えば、CSを苦労して勝ち上がったチームのほうが有利――07年以降の戦い方を見るとそう結論せざるを得ない。過去のCSファイナルステージ(09年までは「第2ステージ」と呼んでいた)の勝敗と日本シリーズの勝敗を照らし合わせてみよう。
■07年(5試合制)
セ・リーグ 中日 3勝-0勝 巨人
パ・リーグ 日本ハム 3勝―2勝 ロッテ
日本シリーズ 中日 4勝―1勝 日本ハム
■08年(以下、ペナントレース優勝チームに1勝のアドバンテージ)
セ・リーグ 巨人 3勝―1勝 中日(1分)
パ・リーグ 西武 4勝―2勝 日本ハム
日本シリーズ 西武 4勝―3勝 巨人
■09年
セ・リーグ 巨人 4勝―1勝 中日
パ・リーグ 日本ハム 4勝―1勝 楽天
日本シリーズ 巨人 4勝―2勝 日本ハム
■10年
セ・リーグ 中日 4勝―1勝 巨人
パ・リーグ ロッテ 4勝―3勝 ソフトバンク(ロッテは3位からの勝ち上がり)
日本シリーズ ロッテ 4勝―2勝 中日(1分)
■11年
セ・リーグ 中日 4勝―2勝 ヤクルト
パ・リーグ ソフトバンク 3勝―0勝 西武
日本シリーズ ソフトバンク 4勝―3勝 中日
■12年
セ・リーグ 巨人 4勝―3勝 中日
パ・リーグ 日本ハム 3勝―0勝 ソフトバンク
日本シリーズ 巨人 4勝―2勝 日本ハム
■13年
セ・リーグ 巨人 4勝―0勝 広島
パ・リーグ 楽天 4勝―ロッテ 1勝
日本シリーズ 楽天 4勝―3勝 巨人
CSのファイナルステージ(第2ステージ)を接戦で勝ち抜いたチームが日本シリーズを制したのは08年、10年、12年、13年の4回、楽に勝ち上がったチームが日本シリーズを制したのは07年、11年の2回で、どちらとも言えないのが09年。接戦を制したチームが有利なことは否めない。
今年はというと、パの優勝チーム・ソフトバンクが日本ハムと接戦を繰り返し、アドバンテージの1勝を含む4勝3敗でCSファイナルステージを制したのに対して、ペナントレース2位の阪神は対広島のファーストステージを1勝1分、対巨人のファイナルステージを負けなしの4連勝で勝ち上がった。
下から勝ち上がってきた勢いは無視できないが、6回戦って1敗もせず、巨人との4戦は1点差がなく、2点差が1回という展開はいかにも楽すぎる。
CSは04年に「プレーオフ」の名称でパ・リーグが導入したものである。セ・リーグが同調したのは07年からで、それまでの3年間は導入していなかった。結果は、04年が西武4-3中日、05年がロッテ4-0阪神、06年が日本ハム4-1中日とパ・リーグの3連勝だった。この3年間の日本シリーズ進出を決めた日にちも比較したい。
■04年
セ・リーグ 中日の優勝決定は10月1日
パ・リーグ 西武のプレーオフ第2ステージ勝利は10月11日
■05年
セ・リーグ 阪神の優勝決定は9月29日
パ・リーグ ロッテのプレーオフ第2ステージ勝利は10月17日
■06年
セ・リーグ 中日の優勝決定は10月10日
パ・リーグ 日本ハムのプレーオフ第2ステージ勝利は10月12日
パ・リーグのほうがどのシーズンもシリーズ進出決定が遅いのがわかる。05年を例に取ると、日本シリーズ開幕が10月22日だから、優勝(シリーズ進出決定)からシリーズ初戦までの空きはロッテの中4日に対して、阪神は中22日。阪神が勝ちなしの4連敗を喫したのは当然である。
今年は阪神が中6日で臨むのに対してソフトバンクは中4日。大した日程の差ではないが、4連勝(アドバンテージの1勝を除く)して中6日で臨む阪神に対して、日本ハムと激戦を繰り広げた末に中4日で臨むソフトバンクとでは「精神面での緩み」という部分で差がありすぎる。精神面だけ比較すればソフトバンク有利は否めない。
スポーツライター・小関順二