また世界一周を目的にする若者も多い。LCCの発達や、世界一周用の格安航空券によって、ポイントを絞って世界を一周することが、とても簡単に、しかも安くできるようになった。
彼らはやはり日本にいる友人や、旅先で出会った人たちとネットを介してつながりあい、コミュニケーションを取りながら旅をする。「この街ではあの人と会う」「あの村でボランティアをする」など、しっかりした目的意識を持って世界を回っていくのが特徴だ。冒頭のように、海外で働く日本人を訪ね歩くのも、学生たちの間ではひとつの流行のようになっている。あてもなく旅をしていた、ひと昔前のバックパッカーとは違うのだ。
そんな学生たちのひとりは、海外に出る理由をはっきりと「就職活動のため」と語った。
「海外に行くこと自体はとても簡単な時代です。だから、ただ行っただけでは企業の面接官にも響かない。目的を持って海外でなにか活動をした経験が評価されるのです」
世界に対する好奇心というよりも、むしろ野心。海外での経験を踏み台にステップアップしていこうというたくましさは、「ゆとり世代」と揶揄される若者たちとは思えない。
どんな形であれ、異国を自分の目で見てくるのは、きっと刺激になるだろう。
一方で、海外にまったく興味を持たない層もいる。同じ学生でも、飲み会に没頭したり、学校に通うことなくアパートに引きこもったり、身の回りだけの狭い世界で限定された生活を送ることは、ある意味で居心地はいい。昨今いわれる「マイルドヤンキー」と通じるものがあるのかもしれない。