「若者だって海外に出ていますよ!」と語るのは、六大学に通う2年生のMさん。彼はこの夏、2回目の海外旅行に出る。1度目は1年生の夏、東南アジアをバックパッカー・スタイルで旅した。今回は、アジア各地に住む日本人をたずね歩く。旅費は居酒屋のアルバイトでためたものだ。
異国で生きるとはどういうことなのか。実際に海外で働くためにはどうしたらいいのか。「海外志向」のMさんは、その答えを探しに旅をする。
「若者の海外離れ」がいわれる昨今。しかし法務省の統計を見てみると、それが一種の偏見であることがわかる。出入国管理統計の中にある、20代の人口に占める海外出国者の割合(出国者率)は、20年前と比べて極端には減少していない。むしろ2012年には、23.4%と90年代以来の高い数字だ。
確かに旅をする若者は減っている。しかしそれは、少子化によって若年層の数全体が減っていることが大きい。いつの時代も、広い世界を見てやろうという若者は一定数の割合でいるのである。
彼ら若い世代、特に学生の海外旅行者は、フェイスブックやツイッター、LINE、インスタグラムなどのSNSを駆使して、常に「つながりながら」旅を紡いでいくのが特徴だ。
この1~2年ブームとなっている「絶景本」の舞台に立つことを目的とする人も多い。中でも人気は、ボリビアのウユニ塩湖だ。雨季になると塩原の表面に薄く水が張り、広大な塩湖そのものが鏡のようになる。これが空を映しこみ、上下対称の壮大なランドスケープをつくりだす。「天空の鏡」と呼ばれており、この地から「ウユニ塩湖なう」とツイートしたいところだが、残念ながらWi‐Fiは飛んでおらず、ゲストハウスに帰ってから呟くしかないのが玉に瑕かもしれない。