阿部慎之助2軍監督のマンツーマン指導で「やばい」と苦悶（くもん）の表情を浮かべて倒れ込む姿が巨人の公式チャンネルで動画配信されると、人気に火がついた。2月28日に支配下登録を勝ち取って開いた記者会見では、母国の両親からのビデオメッセージを見て感極まった。Tシャツで顔を覆って号泣。この姿に多くの野球ファンが心を打たれた。

　人気だけでなく、実力も確かだ。春季キャンプでは実戦11試合で打率3割4分1厘、1本塁打、9打点と猛アピールし、原辰徳監督からキャンプMVPに選ばれた。29日のヤクルト戦（東京ドーム）ではチェンジアップに泳ぎながら、外野席の左最前列に運んだ。ミートした瞬間に、軸足の右足が浮いている「逆一本足打法」が話題になった。

　背番号は「014」から「44」に変わったが、守備に就く際はベンチから外野まで全力疾走を怠らず、打席ではフルスイングで食らいつく。強肩強打だけでなく、「巨人で成功したい」というハングリー精神が一番の武器だ。

　巨人の外野陣は中堅が丸佳浩、右翼がメジャー通算1312安打のヘラルド・パーラで確定。残り1枠の左翼は亀井善行という高い壁が立ちはだかる。3月に入って調子を落としているが、巨人の起爆剤になれるか。（牧忠則）

※週刊朝日 　2020年3月20日号