一方、日本はというと、1回、1回サインを出す。ときにはベンチからの指示を聞いてから攻撃することもあり、相手のディフェンスが整った状態で攻め、逆にショットクロックを使わされてしまう場面も目立った。世界トップチームに比べ、ゆっくりとしたパススピードで、センターを使った中からの攻撃に頼り、3ポイントの精度もかなり低かった。ワールドカップ最後のモンテネグロ戦には関しては16本の3ポイントシュートを打ったがまさかの0点。これでは世界で絶対に勝てない。

 NBAでは3ポイントが入り過ぎて、ラインを遠ざけるかどうかという話まで出てきているくらい、現代バスケは3ポイント合戦となっている。

 ポジションにこだわった戦い方を見せる日本の戦術は一昔前のもののように見えた。今はポジションに固執せずに動き回り、センターが外から狙うのも当たり前で、何の驚きもない。5人が俊敏に連動し、早いパス回しで、誰もがどこからでもポイントを狙えるのが現代の理想となっている。その動きに全くついていけなかったアカツキ5は、攻撃と同様に守備面でも世界に置いていかれていた。

 日本国内でバスケを始めると、身長の大きい子は簡単に活躍できる。日本人の基本体形からすれば、身長の差=フィジカル差になりやすいからだ。それはどのスポーツにも共通する傾向だ。子どものころから長身のピッチャーは速いボールが投げられて、相手には打たれない。長身のFWがいれば、誰にも競り負けず得点を重ねられる。

 しかし、そのままうぬぼれて成長していけば、童話の「キリギリス」のように努力せず、プロになれてもすぐに頭打ちになる。コツコツ努力してきた選手には勝てなくなり、日本人の長身選手がスターになることは少ない。の答えが「アジリティ」であると、このワールドカップを見て確信した。

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